追証とゼロカットシステム

2024年8月6日

いろんなサイトを見ていると、『海外FX会社は危険だから国内業者を利用しよう!』と謳っているサイトがありますが・・・。実際はどうなのでしょうか?

※本記事は、姉妹サイト「TRADEVIEWナビ」に掲載した記事をまとめたものです。

鬼より怖い追証

「追証」=「おいしょう」と読みます。「追加証拠金」を略した言葉ですね。

証拠金取引や株の信用取引において、 保有するポジションが含み損を抱え、その結果必要証拠金が不足した場合、必要証拠金額を回復させるために証拠金の追加を求められ、トレーダーは指定された期日までに追加証拠金の入金を迫られるわけです。これが追証です。

含み損の発生が急激で金額も大きい場合、必要証拠金額がゼロを通り越してマイナスとなる恐ろしいことが起こり得ます。そうすると、追証が借金となって追いかけてくるのです・・・。

強制ロスカットがあるから大丈夫!?

このような事態を避けるためと称して、口座の証拠金が必要証拠金額を一定レベル下回ると、全ポジションが強制的に決済されてしまう「強制ロスカット」といシステムがあります。

「セイフティーネットがあるなら大丈夫じゃん!」とお思いかもしれませんが、実は十分ではありません。

強制ロスカットのシステムは、何もない時には問題なく機能するわけですが、非常に脆弱なシステムであるため、市場に大きな波乱が生じた際には機能しません。。。 近年だと、東日本大震災、スイスフランショック、ギリシャショック、イギリスのブレグジットなどの際に多額の追証が発生しているのです。

更に平常時でも、月曜日の早朝時や米雇用統計など主要経済指標発表時などには、値跳びが発生し、思わぬ価格で約定したり、ロスカットが正常に働かなかったりする危険性もあります。

消費者保護は建前!?

国内FXの個人口座での取引は、レバレッジ25倍までと規制されているわけですが、例えばレバレッジ500倍の海外ブローカと比較すると、証拠金が実に200倍必要になります。

例えば、ドル円レートを1ドル150円とすると、10万円の資金(証拠金)で1万通貨取引するのに、

国内では必要証拠金 60,000円 ⇒ 余剰証拠金40,000円、証拠金維持率166%
海外では必要証拠金 3,000円 ⇒ 余剰証拠金97,000円、証拠金維持率3,333%

強制ロスカットされるレベルは、証券会社によって異なりますが、概ね証拠金維持率20~100%を下回った場合です。余剰証拠金が少ない国内業者の方がロスカットに遭遇する確率が大きいことは一目瞭然です。強制ロスカットに遭遇しやすく、万が一の時には「追証が追っかけてくる」のが国内FXなのです。

誰しも思うことだと思いますが、消費者保護は? …建前ということですね。

国が守りたいのは個人なんかじゃありません。

ゼロカットシステムとは?

海外FXには「ゼロカット」というシステムが存在し、このシステムを採用している業者では「追証」の心配がありません。

ゼロカットシステムとは、正常に強制ロスカットが働かず、口座残高がどれだけマイナスになったとしても、追証を支払う必要がないというものです。

つまり口座のマイナス残高を「0」に戻してくれるのです!

口座のマイナス残高のリセットは、ほとんどの業者で追加入金を実施した際に「0」に戻されます。
中には、追加入金なしでも不定期にゼロカットを実施するところもあります。リセットの際には、まず含み益やボーナスがあった場合は、それらで相殺(補てん)され、残りが「0」に戻されるという、消費者(トレーダー)からすると救世主的な仕組みです!

※ご注意いただきたいのは、全ての海外FX会社がゼロカットシステムを採用しているわけではないので、ご利用の業者がどうなのかについては、それぞれの業者にお問い合わせください。

(参考)TitanFX(タイタンFX)のゼロカットシステム:ゼロカットは適用されますか?

はい、原則適用可能となります。しかしながら、適用可否につきましてはトレードオペレーション部による精査の上で適用させていただきます。

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ゼロカットシステムを採用する海外FX会社のビジネスモデル

海外FX会社はトレーダーが支払ったスプレッド、ECN口座の取引手数料を収益の原資としています。

取引があればあるほどスプレッドや手数料収入で潤うわけなので、トレーダーには安心して取引してもらう必要があります。「入金額以上絶対に負けない」という安心感を与えることでアクティブな取引を促すことができるわけです。「ゼロカットシステム」を導入している理由です。

意図してかどうかはわかりませんが、国内業者との差別化に繋がっています。

海外FXと国内FXでは、根本的にビジネスモデルが異なるのです。

国内業者がゼロカットシステムを導入できない訳

証券取引法で「損失補填」が禁じられてるからというのが理由です。

では、なぜ損失補てんが禁止されているのか?
損失補填が禁止された趣旨について調べてみました。

そもそも損失補填は、バブル経済崩壊後に、証券会社が大口の法人顧客に対しその証券投資損失を補填することが社会通念上、公平性に反するとの考えから禁止されたものである。

また、一般的にも、損失補填禁止の趣旨は、「不公平感を抱いた一般投資家が証券市場に対する信頼を失ってその後の投資を控えるようになり、証券市場への資金の流入が不足する結果として証券市場による資金の効率的な配分が害されるのであれば、その不公平感を除去するために損失補填を禁止する必要があるといえよう」とされている(神田秀樹=山下友信『金融商品取引法概説』(有斐閣))

https://judiciary.asahi.com/outlook/2013021700003.html

「損失補填」が証券取引法で禁止されているから大手を振って「追証」を求めれらるわけですが、万が一、法律に抵触しなければゼロカットシステムを導入するつもりがあるのかどうか?

消費者保護を謳うなら、「個人口座=ゼロカットシステム、法人口座=追証というのもありかな?」と思うのですが、いかがなものでしょうか?

国内業者のビジネスモデルについては、考えれば考えるほど疑問です。

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